ステレオのカセットデッキが壊れて聴けずにいたので何年も忘れておりましたが、押入れから大量のカセットテープが出てきたので職場からラジカセを借りてきて聴き直しました。
再生して聴こえてきたのは、約30年前、15歳の私の弾き語り。簡単なコードでオリジナル曲を歌っています。
ギターは下手だし歌詞は青春だし、童貞感というか童貞臭すら感じる歌声。シャアの名台詞「認めたく無い物だな、自分の若さ故の過ちというものを」という記憶がバンバン甦りました。
童貞だっていいんですよ。若いんだから。むしろあの頃のバッキバキに反り返る自分を誇らしく思います。ただし、当時の自分はこの歌をこれみよがしに友人や恋人に聴かせていたという行為は、今思えば非常に恥ずかい。
4トラックのカセットのMTRをお年玉をはたいて買った時の事も鮮明に思い出しました。ギターの録音もよく分からず、ギターからエフェクター、その後直接MTRですからペケペケのバリバリの音。アンプシミュレータが一般的になるのはその10年以上後です。あ、サンズアンプは出てましたね。高くて手が出ませんでした。
ピンポン録音を友人に教えてもらって、初めて自分の歌に自分でコーラスを被せた時の事。いやいや、本当に忘れてました。
有難いのは、忘れてただけで、しっかりと記憶が残っていて、これを書いている今はまるで昨日のことの様に、本当に鮮明に思い出しました。
そしてもう1つは、早送りや巻き戻しの待機時間。そう、今のデジタルと決定的に違うのは「待ち時間」が発生する事。これは必要な時間だと実感しました。
カセットの中の聴きたい曲を探す時なんかは、もうこの待ち時間のおかげで、心の底から「聴きたい!」ってテンションに気持ちが上がっていくんですね。古い言い方ですが、マジでヤバいですよ。
と言うわけで、このラジカセは明後日には返しますんで、新たに買います。絶対。カセットは音楽を楽しむための方法の1つとして間違いなく有効な手段と再認識しました。
それとテープの中からは、私が初めて全国に流通に乗せた音源も出てきました。ハードコアバンド、Nice Viewのマスターテープです。名古屋市の千種という街で、ラブホをスタジオに改装したリハスタに私のMTRを持ち込んで録ったんです。録音からミックスまで任せてもらって楽しめました。今聞くとマイキングも下手だしバランスも良く無いんですけど、それが逆にハードコア感が増していていい感じ。みんな若くてバッキバキに充血してました。
あの頃に帰りたいとは思いません。今でもこうしてしっかり残っていましたから。